バターナッツかぼちゃは、少し水分が多くて、ほくほくというよりかはしっとりとしたかぼちゃです。
一般的なかぼちゃよりは、甘みは少なめ。
このバターナッツかぼちゃを使っておやつを作っているのは、このかぼちゃの作り手への敬意。というのが一番しっくりくる理由な気がします。
昔、カフェでパティシエとして働いていた頃のはなしですが、野菜を蒸してペーストにしてから作るケーキのレシピを別店舗の上司から提案された事がありました。
この時私は「個体1個1個に甘さの差があるのを、毎回味をみながら調整していくんですか。大変過ぎます」と意見して、結局業者さんが扱っているペーストを使うこととなりました。
提案した上司がいる店舗は、同系列店の中のケーキ店でゆったりとした店舗。
一方私が働いていたカフェは忙しく、繁忙期には2時間お待ちがでるようなお店でした。作っても作ってもどんどんショーケースから無くなっていき、常に【早く早く効率良く】を求められていたので、毎回砂糖の量の調整をするその時間が負担に思ったんです。
だけど、時を経て、今
バターナッツかぼちゃを毎回蒸し煮にして潰して、おやつを作っています。
皮を向くのは手間がかかるし、同じようにしていても毎回水分量や甘さが変わっていく。
煮詰めて糖度をあげたり、甘糀の量を調整したりしながら作っているわけなんですけど、
昔と今と何が違うんだろうと考えてみたら、
今は【早く効率良く】をあの頃のように求めていないのが前提にまずあって、その上で生産者さんと繋がっている部分がとても大きいんだなと思いました。
バターナッツかぼちゃを作っている新谷さんは、毎週わが家に野菜を届けてくれる大原の農家さんで、配達の時によく畑のことを話してくれます。
農薬を使っていないので、野菜についた虫を掃除機で吸っているとか、そろそろ鹿が野菜を狙ってくるから朝まで見張りをしないといけない等々、毎回驚きの内容ばかりです。
「人は自分にとって都合の良いところばかりをみようとするし、自分に関係がなかったら無関心すぎる。だけど、日本で起きてる事ってみんなで考えることであって他人ゴトではないんだよね」
これは野菜の土づくりの話を聞いていた時に言われた言葉なんですけど、この時、新谷さんの信念を知った気がしました。
(ほんとはもっと詳しく言葉の内容を書きたいし、そこを書かないと信念について伝わりづらいとおもうんですけど、たぶん新谷さんが公にしていない部分でもあるので、ここでも書くのはやめておきます)
新谷さんの野菜との向き合い方は私には到底真似できないし、新谷さんが作った野菜でおやつを作りたいと思ったし、私も野菜(バターナッツかぼちゃ)と向き合ってみいたいと思った。
そんな事があって、手間がかかる方をあえて選びたいと思いました。
そして、この、蒸し煮にしておやつを作っている時間が私にはとても豊かに思えています。
新谷さんからのバトンを受け取って、食べてくれる人へと繋いでいく。
これは、他の生産者さんからのものを扱う時にも思います。
たべものって、ただ身体の栄養となるだけじゃなくて、心の栄養にもなり得るんじゃないかと思ったり。
「想いなんていらないよ!美味しければそれでいいよ!」って言われてしまえば、まぁそれもそうなのか…とも思ってしまいそうなんですけど、
だけど私は想いの部分を大事にしたいなって思います。
バターナッツかぼちゃの甘糀マフィン
お砂糖を使っていないので、野菜の甘さを感じやすいです。
バターナッツかぼちゃとカカオのパウンドケーキ
バターナッツかぼちゃのチーズケーキ 古代小麦のタルト
(こちらはオンラインショップで販売中。店頭での受け取りはご予約が必要です)
今日はいろいろ長めに書いてしまいました。
読んでくれてありがとうございます。